佐助としてはわざと悪ぶって言ったつもりだったので、ひどい! とかさいてい! とかいう反応はまあ全然かまわない、むしろどんとこいくらいの気持ちだった。
 同じ制服を着た同年代の男女がぞろぞろ同じ方向に流れていくなかを、そのうちの一団になって歩きながら、ばっかばかしい、と佐助は息を吐く。
 慶次は「叶わなくたって恋はいいもんだよ」と言い、政宗はハンと見事に鼻で笑い、元親は「笑えるんならいーんじゃねえの」と答えた。幸村は部活で遅くなる。
 目の端をひとり反対向きに(つまり学校に)駆け抜けていった長い金髪が、まだきらきらしてわずらわしい。
「必死になったって、辛いじゃんね……」
 誰の話だよ、とか突っ込んでこないこいつらは案外優しいのかもしれない。もしくは佐助に全然興味がないのかも、と思うとほっとしてちょっとすっきりした。
 桜はすっかり散ってみどりが美しい季節だ。暑い。








叶わぬ恋とか笑っちゃうよね
お題:亡霊
20120425
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