佐助が元親に好意を持つのは、つまり彼の生き方がとても健やかで正しいからだ。単純な事実をありのままあっけらかんと口にして憚ることがないのは聞いていて気分がいい。
「チカちゃんは簡単でいいねえ」
 感服してもらしたのは、だから紛れもなくほめ言葉だ。佐助はううん、と天井裏で凝り固まったからだをほぐす伸びをした。元親はたくましい胸板を春風に撫でさせながら寝転んでいる。
「夢はでっかくだ」
「そういうの、ロマンチストって言うらしいよ」
 佐助は元親のうしろ頭に言った。鬼の毛並みは今日もやわらかそうだ。貝殻みたいな花びらが吹き込んでくる。
「次はチカちゃんとこで働くのもいいねえ」
 春の夢はあまい。







口にすれば叶うかもしれないだろ
お題:晩餐
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