そこでまるで人形のように美しく、飾り立てられ、愛され、そして意志を持たない存在だった。彼女たちは。
 セリスはからだで抱き込んだ剣の柄にあごをそえ、ちらりと、盗み見るようにある意味同胞であり旅の仲間である少女を見やった。ここちいい低温の瞳のなかで火の粉が揺れている。
「覚えている?」
 ティナは両手を太ももに置いて座った体勢で、すこしだけセリスを見、同じく控えめにほほえんだ。
「いいえ。……思い出したいと、思ってるわ」
 あのまちのこと。







錆びるだけの鉄、枯れるだけの花、死ぬだけの人
お題:ギルティ
20110215
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