だれかを・すきで・いられたら

 それはどんなにか素敵なことだろうと花京院はずっと夢見てきたし、いまも、夢のなかでまどろむひとのようにふわふわと足が綿菓子を踏むような心地だ。
「花京院は、ほんとうにパパが好きね」
 徐倫はそう言って自分のアイスコーヒーの氷をからからやった。そこに落ちるだろうと予測された沈黙をミキサーにかけるために、あらかじめ準備しておいたみたいに。一度目を伏せて、それからあがってくるのを花京院はじっと待っていた。
 からん、と、涼やかな音が耳に残る。

 だれかを・すきで・いられたら







あ・い
20110321
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