足元に寄せる波の、ぎりぎりのところに指先を置いて砂をえどる。あかく落日の色に染まった砂は、細かな感触を皮膚に伝えてくすぐったい。とてもはかない、おさない行為だと思う。何もどこにも残さない。
 耳に静かに滑り込んでくる波音にあの声を探しながら、パスは伸ばしていた人指し指をそうと握り込んだ。
 まだ恋を信じていたい。







砂浜のハートの消えるころ
お題:bamsen
20100927
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