春は暴力的な季節だ。何もかもが目覚め芽吹き成長を始める。若々しい生命力がそこら中に満ち満ちていて、証拠に最近サニーの背も手も足もにょきにょきと伸びているが、しかしもはや成長する余地のない、ただ余生という坂を一歩いっぽ下っていくばかりの老人には些か重たすぎる。
 とうてい天国には行かれないだろう人生を歩んできたことにいまさら後悔はないが、明日の朝にはもう目が覚めないかもしれないという未来に毎日怯えている。
「おやすみ、スネーク」
「ああ」
 そしてその恐怖こそがいまの彼にとっての生きるということなのだ。







私は春に耐えられない
お題:晩餐
20100407
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