彼女が消えたあの日から、一日だって彼女を忘れたことはなく、彼女のことを考えなかった時などないとさえ言える。ジョンという男の半分は彼女のもので、スネークと呼ぶのならそれはまるきりもう半分も彼女のものだ。そして同時に当然スネーク自身のものでもある。スネークは彼女を殺したあの日あの時あの場所から、彼女を忘れたことはなく、しかし、また、彼女のことを考えた時があるとも言えない。
 彼女の言葉彼女の表情彼女の仕種。そのすべてを覚えていると言えるのに(なにせスネークは彼女のもので彼のもので彼で彼女だ)、スネークには彼女のことが何一つわからない。ずっとわからないままだ。
「ボス、俺にはあんたがわからない……」
 もうずっと、ずっと長いことだ。







あなたの愛が知りたかった
お題:環
20100408
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