用具委員の仕事というのは、基本的には武器武具をはじめとした用具の管理だ。整備をして、出入、数の確認をする。ただの倉庫管理だとか言われたりもするが重要な仕事であるし、まあ、そう言われるくらいには簡単な仕事でもある。だから下級生に任せたってそうそう問題は起こらない。
 当番の一年生二人は、ごく普通のやり方として表と棚とを見比べている。結構な時間をかけて、ゆっくり、ゆっくり。後姿だけでもどことなくぽやぽやしている二人は、他の委員よりうんと多くの時間を費やして仕事にあたっていて、それはまあ効率なんかを抜きにすれば悪いことでもない。忍者としては問題ではあるが真面目にやっているわけで、委員長としては微笑ましくもなるくらいだ。ただ、さっきからどうにも進んでいない気もしている。
「おい」
「え?」
「なんですかあ?」
 ぽやぽや。
 音として聞こえそうなくらい、薄暗い倉庫のなかでもまわりの空気がそういうふうに見える。そういえば、あの立花仙蔵がいろいろと苦戦させられている二人らしい。
「……いや、いい。しっかりやってくれ」
「「はい!」」
 きれいな斉唱だった。
 食満は冷たい壁に背を預けて目を閉じた。長期戦になりそうだ。







わるいこだれだ
お題:tricky
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