可愛いげがない、なんて誰に言われずとも知っている。そしてそれでいい、ととっくに思い切っているのだからいまさら、要らぬお節介など本当に要らない。
 妙は目前で静止して動かない男の顔をつんと見返してやった。吐息がかかりそうな距離なのが不愉快だ。
「酔ってんの」
「酔ってません」
「ふうん」
 じゃあいいか、と銀時はあなたこそ酔ってるの? と言いたくなる死んだ目で呟いた。いったい何が? 妙が問うより早く答えが降ってきた。唇に。
 銀時のくちびるが、妙の、くちびる、に。
「!」
 何するの! と妙は言えなかった。目を開けたまま近付いてきて目を開けたまま遠ざかっていった(ずっと目が合っていた。死んだ魚の目と!)男を月までぶん殴り飛ばしてやることもできなかった。唇がじんとしびれて腕は感覚がなかった。
 銀時はにたりといやらしく笑う。
「かわいい。お妙」







未完成が愛しい
お題:bamsen
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