窓のない部屋の底にぐずぐずとよどんでいることに遂に嫌気がさしたのは彼女ではなく、かといって彼でもなく、つまりは気まぐれのように二人はその部屋を出て、いま夜空を眺めているのだった。
 あおい空に数えきれない光が散らばる。
 これらがすべて宝石なのだったら彼らはとたんにその稀少価値をなくして石ころになってしまうし(それでも物珍しさでない、美しさは残るはず、だけれど美しさとは何だろう……)、大きなおおきな紙に錐で開けたあななのだったらきっと、職人の死体がその裏に山と積んであるに違いない。
 彼女の指がまっすぐに星の海に伸びた。
「流れ星!」







星は流れるけど願いはかなわないよ
お題:花洩
20110321
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